営業事務の仕事は、受注処理や発注、納期調整、請求書の発行など、業務の種類が多いうえにイレギュラー対応も少なくありません。
「マニュアルはあるけど、結局よくわからなくて人に聞いている」
「新人に仕事を教えるたびに、同じ説明を繰り返している」
「自分しかわからない仕事が増えて、引き継ぎが不安」
このように感じている人も多いのではないでしょうか。
あきら僕も営業事務を10年以上経験してきましたが、実務で役立つのは、仕事内容や操作手順を並べただけのマニュアルではありません。
「この場合はどうする?」と迷ったときに、次の行動を判断できるマニュアルにすることが重要です。
この記事では、
- 実務で使えるマニュアルを作る5つの手順
- ミスを減らすために残したい確認ポイント
- 納期遅れや急ぎ依頼などイレギュラー対応の残し方
- ChatGPTを使ってマニュアル作成を効率化する方法
まで解説します。
営業事務マニュアルは「迷ったときに判断できる内容」にする


営業事務マニュアルを作るなら、まず意識したいのが「読めば作業できる」だけでなく「迷ったときに判断できる」内容にすることです。
営業事務では、同じ受注処理でも在庫不足、納期変更、注文内容の不備など、その都度対応が変わるケースがあります。
正常なケースだけを書いていても、実際に困るのは正常ではないケースです。
仕事内容を並べるだけでは実務で使いにくい
「注文書を確認する」
「システムへ入力する」
「発注する」
といった仕事内容だけを書いても、マニュアルとしては不十分です。
たとえば注文書を確認したとき、数量がいつもより多かった場合や、希望納期が通常より短かった場合にどうするのかまで書いておく必要があります。
作業内容だけではなく、「どこを確認するか」「異常があったらどうするか」まで残すのがポイントです。
通常業務とイレギュラー対応を分けて整理する
マニュアルは、通常業務とイレギュラー対応を分けると見やすくなります。
最初に基本的な処理の流れを書き、そのあとに「この場合はどうする?」という例外を追加します。
- 在庫が不足している場合
- 希望納期に間に合わない場合
- 注文内容に不明点がある場合
- 営業担当の承認が必要な場合
- 取引先から注文変更を依頼された場合
例外をすべて網羅する必要はありません。
まずは実際によく発生するものから追加していけば十分です。
新人・引き継ぎ・自分用で必要な内容は少し違う
誰が使うマニュアルなのかによって、必要な情報量も変わります。
新人向けなら、社内用語やシステムの場所まで詳しく書いた方が使いやすいでしょう。
引き継ぎ用なら、日常業務だけでなく、月末処理や年に数回しか発生しない仕事も重要です。
自分用なら、「忘れやすいこと」「間違いやすいこと」を中心に簡潔にまとめても構いません。
営業事務の業務範囲は会社によって異なります。
そのため、以下をすべて入れる必要はありません。
自分の会社で担当している仕事を洗い出す際の参考にしてください。
営業事務マニュアルの作り方【5ステップ】


営業事務マニュアルは、いきなり文章を書き始めるより、業務を整理してから作る方がスムーズです。
1.まず担当業務をすべて洗い出す
最初に、自分が担当している業務を思いつく限り書き出します。
- 毎日行う業務
- 週単位・月単位で行う業務
- 月末・月初だけ発生する業務
- 問い合わせがあったときだけ行う業務
- トラブル時だけ発生する業務



「マニュアルを作る」というより、まず仕事の棚卸しをすると考えると取り組みやすくなります。
2.受注から請求まで業務の流れを整理する
次に、業務を単独で見るのではなく、前後の流れで整理します。
たとえば受発注業務なら、基本的な流れは次のようになります。
- 注文を受ける
- 注文内容を確認する
- 在庫を確認する
- 必要に応じて仕入先へ発注する
- 納期を確認・回答する
- 出荷する
- 売上処理をする
- 請求書を発行する
ここは文章だけで説明するより、フローチャートにした方が全体像を把握しやすくなります。


「自分の作業の前に何があり、終わったあと誰へつながるのか」が見えるマニュアルにすると、引き継ぎもしやすくなります。
3.業務ごとに具体的な手順を書く
全体の流れができたら、1つずつ具体的な手順を書きます。
「受注入力をする」だけではなく、どのシステムを開き、どの項目を確認し、どのタイミングで登録を完了するのかまで分けます。
一度に長く書くより、1作業1手順を意識すると読みやすくなります。
4.ミスしやすいポイントと確認方法を追加する
営業事務マニュアルでは、操作方法以上に「何を間違えやすいか」を残すことが重要です。
過去に実際に間違えた箇所や、普段から注意して確認しているポイントがあれば追記します。
- 品番が似ている商品
- 数量の桁間違い
- 単価の変更
- 納入先の間違い
- 希望納期と回答納期の見間違い
チェック項目が決まっていれば、新人でも確認する場所がわかります。
5.イレギュラー時の対応と確認先を書く
最後に、「通常どおり進まなかった場合」の対応を追加します。
ここまで書いて初めて、迷ったときに使えるマニュアルになります。
実務で使える営業事務マニュアルに書く項目


業務ごとに書き方がバラバラになると、必要な情報を探しにくくなります。
以下の項目を基本フォーマットにしておくと整理しやすくなります。
業務の目的と完了条件
「何のために行う仕事なのか」「どこまで終われば完了なのか」を簡潔に書きます。
完了条件が曖昧だと、入力しただけで終わったつもりになり、その後の確認が抜けることがあります。
使用するシステム・ファイル・帳票
使用する社内システム、Excelファイル、注文書、チェック表などを記載します。
共有フォルダを使う場合は、保存場所もわかるようにしておくと新人が探す時間を減らせます。
具体的な操作手順
作業は番号順に進められる形にします。
画面操作が複雑な場合は、スクリーンショットを使うのも有効です。
チェックする数字・日付・納期
営業事務では、数量・単価・納期・締め日などの数字を扱う場面が多くあります。
「入力後に確認する」ではなく、何と何を照合するのかまで決めておくのがおすすめです。
困ったときの判断基準と問い合わせ先
実務では、すべてを自分だけで判断できるわけではありません。
重要なのは、自分で判断できないときに「次に誰へ確認するか」がわかることです。
「自分で判断できる範囲」と「確認が必要な範囲」を決めておくと、勝手な判断によるトラブルも防ぎやすくなります。
営業事務マニュアルで特に残しておきたいイレギュラー対応


営業事務では、通常処理よりイレギュラーが発生したときに困ることが多いです。
日常的によく発生するケースからマニュアルへ追加していきましょう。
在庫がない・納期に間に合わないとき
在庫切れや納期遅延が発生した場合は、代替品の有無、次回入荷日、分納できるかなど確認する項目を整理します。
そのうえで、営業担当へ相談する条件や顧客への回答方法を残しておきます。
注文内容に不明点があるとき
品番、数量、価格、納入先などに不明点がある状態で、そのまま処理を進めるのは避けます。
「たぶんいつもと同じだろう」と推測して入力すると、受注ミスにつながる可能性があります。不明点がある場合は、誰へ確認するかをマニュアルに明記しておきましょう。
営業から急ぎ・口頭で依頼されたとき
「これ急ぎでお願い」と口頭で依頼される場面は、営業事務では珍しくありません。
ただし、急ぎだからこそ内容を正確に残す必要があります。
商品、数量、納期、顧客名など必要事項を確認し、可能であればチャットやメールなど記録が残る方法で内容を共有します。
取引先からクレームや変更依頼があったとき
クレームや注文変更は、営業事務だけで判断すると対応範囲を超えてしまう場合があります。
まず事実関係を確認し、どの段階で営業担当や上司へ引き継ぐかを決めておきましょう。
担当者によって処理方法が違うとき
営業担当ごとに依頼方法や処理手順が違う職場では、営業事務側が混乱しやすくなります。
担当者別の注意点を残す方法もありますが、本来は共通化できる部分を整理した方が業務改善につながります。
人によって違うルールをそのままマニュアル化するだけでは、属人化が残るからです。
営業事務マニュアルを作るときのよくある失敗


時間をかけてマニュアルを作っても、使われなければ意味がありません。
特に次のような失敗には注意しましょう。
情報を詰め込みすぎて読みにくくなる
「すべて説明しよう」とすると、文章量が増えすぎて必要な情報を探せなくなります。
基本手順は簡潔にし、細かな補足や例外処理は別項目に分けた方が読みやすくなります。
操作方法だけを書いて判断基準がない
画面操作を丁寧に説明していても、エラーや例外が出た瞬間に使えなくなるマニュアルがあります。
操作手順と一緒に、「○○なら△△する」という判断基準を残しましょう。
マニュアルを作ったあと更新されない
システム変更や社内ルール変更があると、マニュアルと実際の業務にズレが出てきます。
変更が発生したタイミングで更新するルールを決め、更新日も残しておくと管理しやすくなります。
自分にしかわからない表現を使ってしまう
自分用のメモではわかる略語でも、新人や後任者には伝わらない場合があります。
完成したら「初めてこの仕事をする人が読んでも進められるか」という視点で読み直してみてください。
ChatGPTを使えば営業事務マニュアル作成を効率化できる


マニュアル作成は必要だとわかっていても、日々の業務をしながら文章を整えるのは大変です。
そこで使えるのがChatGPTです。
ゼロからマニュアルを作ってもらうというより、自分が持っている業務知識を整理・文章化する補助として使うと活用しやすくなります。
箇条書きの業務メモから手順書を作る
普段行っている作業を箇条書きで入力し、手順書として整理してもらえます。
出力された文章をそのまま使うのではなく、自社の実際のルールと照らし合わせて修正します。
わかりにくい部分は図解を作ってもらう
受注から請求までの流れや、条件によって処理が分かれる業務は、文章だけでは理解しにくい場合があります。
業務内容を整理して、フローチャート用の構成案を作ってもらうと図解にしやすくなります。
プロンプト(ChatGPTへの命令文)の例
- 注文を受ける
- 注文内容を確認する
- 在庫を確認する
- 必要に応じて仕入先へ発注する
- 納期を確認・回答する
- 出荷する
- 売上処理をする
- 請求書を発行する
以上の内容をフローチャートにしてください。
このように指示した場合、できあがったのが以下の画像です。





文章だけだとわかりにくかったものが、図解になるとわかりやすくなりますね!
長い引き継ぎメモをわかりやすく整理する
引き継ぎ資料は、書き足していくうちに情報が重複したり、重要な内容が埋もれたりしがちです。
内容を業務別に分類し、重複を整理する作業にもChatGPTを使えます。
イレギュラー対応をFAQ形式にまとめる
過去に発生したトラブルや問い合わせを「よくある質問」としてまとめる方法もおすすめです。
実際に発生したケースを少しずつ追加すれば、現場で役立つマニュアルに育っていきます。
ChatGPTに入力してはいけない情報に注意する
ChatGPTを仕事で使う場合は、会社のルールを確認したうえで利用してください。
顧客名、担当者名、電話番号、メールアドレス、注文番号、価格情報、社外秘情報などを安易に入力しないよう注意が必要です。必要に応じて「A社」「商品A」などに置き換えてから整理しましょう。
AIに任せるのは「整理や文章化」であり、業務ルールが正しいかどうかの最終確認は人が行います。
まとめ|営業事務マニュアルは「手順+判断基準」まで残そう


営業事務マニュアルは、仕事内容やシステム操作を記録するだけでは十分ではありません。
実際の仕事では、在庫不足、納期変更、急ぎ依頼、注文内容の不備など、「いつもどおりに進まない場面」で判断に迷うからです。
実務で使えるマニュアルにするために、次の内容を意識してみてください。
- 業務全体の流れを整理する
- 具体的な作業手順を書く
- ミスしやすいポイントを残す
- イレギュラー時の対応を書く
- 自分で判断できない場合の確認先を決める
- 業務変更に合わせてマニュアルを更新する
すべての業務を一度にマニュアル化しようとすると大変なので、まずは「よく聞かれる仕事」「ミスしやすい仕事」「自分しかわからない仕事」から作ってみてください。
少しずつ更新していけば、新人教育や引き継ぎだけでなく、自分自身の業務整理やミス防止にも役立つマニュアルになります。



以上をふまえて、マニュアル作り頑張ってみてください!




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